ぽめぇの暮らし

生きています

自慢の街、武蔵小杉2

さて、前回に続いて今度は武蔵小杉のマイナスポイントを挙げてみる。ここからは主観が強くなるので更に参考にならないかもしれぬ。

 

まず、武蔵小杉は「遊ぶ」という視点から見ると、つまらない。本当に、面白みがまるでない。うどんならかけうどん、インドカレーならバターチキン、アニメならサザエさん、お風呂なら40℃。「なんか、、、足す?なんか。ちょっと物足りなくない?え?辛味?油?香り?」という感じ。安定だし、安心だし、間違いはない。が、それだけ。

 

「住めるし遊べる」という、バランスの良い街は確かに存在する。年代やライフスタイル、どんな遊び方をするか等で話は変わってくるが、ここでは周りにいる同世代の人たちやそれより下の若者の感覚で考えてみる(我々夫婦は1986年生まれ)。

 

そのバランスの取れた街の代表格は、下北沢だと思っている。

古着屋さんや雑貨屋さんが所狭しと立ち並び、平日も休日も賑わい、尚且つ家賃や交通の便の生活面からも「住む」ハードルはそれほど高くない下北沢。

 

「住む」を重視するか、「遊ぶ」を重視するか、両方適度に叶う街にするか。そんな判断基準を、身近な多くの人は重視しているように思う。

 

下北沢に住む絵に描いたような都会男子の知り合い(モデル兼アパレルPR兼DJ)に、「東横は(一ミリも住みたい沿線とは思え)無い。良さがわからない。」とバッサリ切り捨てられたことがある。

 

東横沿線で言うと、渋谷は「住む」にはハードルが高めで、どちらかと言えば「遊ぶ」街のイメージが強い。渋谷以西の東横沿線の街は、主要な駅に出やすく「住む」には便利だ。ただ、下北沢のように楽しさのある街より、どちらかと言えば静かで落ち着いた街が多い。しかし「住む」 街に刺激は不要、「住む」と「遊ぶ」は完全に切り離して考えようと結論を出し、我々は東横沿線の街の中でも最も安定的に思えた武蔵小杉に越して来たのだ。なので、欲は言わないつもりでいる。

 

ちなみに下北沢のシティーボーイは、つい先日まで我々と同じ川崎市民仲間で、登戸に住んでいた。彼は川崎を捨て、「住む」と「遊ぶ」を手に入れて、キラキラ楽しそうだ。

 

そんなわけで我々夫婦は、休日になると面白みを求めおかしな格好でほかの街に足をのばす。ボロいグレーのマンションから、緑の花柄セットアップに緑のファーコートを羽織り赤いヘビ柄のテカテカした靴を履いた私と、ピンクのスーツにオリエンタル柄のシャツとカラフルなネクタイを合わせペイズリー柄の靴下を履いた夫が道路に出ていくと、通行人はチンドン屋を見るように一瞥をくれ、「関わらんとこ」とすぐに目線を外す。別にいいのだが、少し切ない。たいがいそれは黒いダウンジャケットを着た中高年の夫婦や、近くの私立高校で部活を頑張る少年たち。世に言うところのいけてる若者は、あまり街を行き交っていない。

 

別に問題ない。クソのつく田舎から上京してきたばかりの我々にとって駅まで歩ける距離に住めるならもうそれだけで全員いけてる。

 

武蔵小杉は、「住む」に徹するにはもってこいの、面白くない落ち着いた街なのだ。それで良い。だから我々が「遊ぶ」時は、お出かけ前提だ。でも、古着屋さんとか、近くにフラッといけるお店が増えたら嬉しいな。

 

ただ、「住む」に徹することができるとは言いながら、電器屋とホームセンターが無い。引越したてのころ、電車で隣町へウォシュレットを買いに行き、夫が亀の甲羅よろしくそれを背負って帰って来た時の様子は忘れ得ぬ。電器屋とホームセンターとパチンコ屋だけが人口を無視して乱立していた地元を思い返し、需給バランスの難しさに唇を噛んだ。

 

また、ご飯屋さんどこ行く問題も叫ばれて久しい(夫婦間で)。外食の多い私たちにとって、これは由々しい問題だ。

 

武蔵小杉へ来てから二年半、街の飲食店は少しずつ変化している。この近くでは珍しかったケーキ屋が突如閉店し、すぐさまメガネ屋になった。ラーメン屋が店をたたみ、イタリア料理店になったと思ったらあっという間に潰れ、また別のラーメン屋になった。それとはまた別のそんなに古くないイタリア料理店は、先日暖簾を下ろした直後ステーキ屋に変わった。

 

姿を消した店に共通する特徴を考えた。いずれも夫婦で一度は足を運んでみたが、それっきりというパターンばかりだった。不味いわけでは無いがリピートの決め手に欠ける。そういうお店が、できては閉まる。武蔵小杉の個人が営む飲食店は長く営業を続けるのが難しいらしい。「遊ぶ街ではない」からこそ、ある程度のリピート客を獲得できない店は撤退を余儀なくされるとも言える。オフィスビルも数少ない上局所的にしかないので、サラリーマンのランチを狙うことも難しいだろう。

 

新しい大手商業施設内の小洒落たコスパの良くないカフェや瀟洒な居酒屋は沢山あれど、地域に根ざし、皆様に愛されて30年、迷ったらとりあえずここに入れば解決、みたいなお店はなかなか少ない。

 

我々夫婦は酒をほとんど飲まないので、焦点は昼からあいている店に絞りがちだ。適当にいつでも入れる、無難なメニューが美味くて安い定食屋や洋食屋、ちょっと変わったこだわりをもつカレー屋や個性のあるアジア料理のお店、とかカフェとか、パン屋、もっともっとあったら嬉しいと思っている(そういえばこの街には路面のパン屋さんが、無い)。

 

そんな中で見つけた、割と歴史のありそうな近隣住民御用達の雰囲気が良いお店も何軒かある。

 

パーラーきよのやと、和田珈琲店

https://://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140504/14028211/

 

 https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140504/14028008/

 

きよのやはカツカレーもホットケーキも美味しい、昔ながらのパーラーだ。夢のよう。生姜焼きもパフェもおいしい。老若男女、心が踊るはず。

 

和田コーヒーは飾り気のない美味しいコーヒーを時間を気にせずに飲ませて頂けるお店。いつ行っても、時がゆっくり流れているような錯覚に陥ることができるから、コーヒーを一杯飲む以上の価値があると思える。

 

この二軒は、武蔵小杉に来るなら是非お連れしたい。

 

派手さは無いけれど、安全に落ち着いて静かに暮らせる街。美味い店はこれからできるかもしれない。一度来てみて、気に入ったら住んでみませんか。ウォシュレットはamazonで購入を。住みやっすい街で、共に「住む」を極めてみませんか。

 

とかなんとか結ぼうと思ったが、重大な問題が残っていた。

 

タワマン林立に起因する急激な人口爆発。通勤ラッシュ時の駅のホームは毎日地獄の様相を呈しているようだし、保育園活動も激戦区となり、保育所を増やしても増やしても追いつかず、待機児童問題は悪化の一途を辿っているそうだ。

 

ラッシュ時に電車を使わない時間帯で働く仕事に就き、子供もいない我々夫婦にはあまり関係無いが、街全体としてみれば深刻なマイナスポイントはこの二つなのであろう。

 

これからも武蔵小杉に住み続けるかどうかはわからない。ライフスタイルが変わればそれに合う街をまた探すことになるかもしれない。とりあえず現状の我々にとって、武蔵小杉は住みよいので住んでいる。

 

機会があれば武蔵小杉に来て欲しい。びっくりするような面白いことは無いとしても、 美味しいコーヒーをゆっくり飲んで、そのあとどこかに出掛ければ良い。